「○○をどう思う?」、などのように、ひとつの単語だけを使って、詳細を省いた質問の仕方を、多用している人は、少なくないでしょう。
シンプルすぎる聞き方は、言葉がなくても分かり合えるような、とても親しい間柄における会話を除き、相手に、意図するところが、きちんと伝わりにくいです。伝えるための言葉が足りていないからです。
このような聞き方を頻繁にしてしまうと、答える相手を疲れさせてしまうこともありますので注意が必要です。
たとえば、「カレーライスを思いますか」「政治についてどう思いますか」と、自分がきかれた場合を考えてみればわかります。この表現では、具体的に、何を聞かれているのか、わかりにくくないでしょうか
。
「カレーライスが好きですか」でもなく、「政治に、平均以上の関心があるほうですか」でもない、「どう思いますか」というのでは、・・・「どう」っていったい何のこと?と、思われてしまいます。
聞かれた相手は、答えに困り、きっと、補足として、それはカレーに関心があるかという意味?とか、今の政権についてということですか、それとも別のことですか?、などと、内容を確かめる質問を返してくれると思います。
それに対し、「ええ、最近、カレーがブームだと聞いたもので・・・」などと、説明を加えれば、その後の会話は成り立っていくとは思いますが、相手に、答えの前に聞き返される、ということは、・・・逆に言えば、的を射た質問になっていない、ということです。範囲の広すぎる聞き方を、唐突にしてしまっているから、詳細を確認されているわけですよね。・・・っていうか、最初からそれを含めて聞くほうが、自分も楽だと思うのですが。
といっても、状況により、単語だけで意味が通じる場合もあるでしょう。たとえば、テレビで、教育について議論している番組を一緒に見ているとして、その流れで、「教育についてどう思う?」と聞くなら、その番組の内容が、お互いの基礎的な共通認識となっているでしょうから、それだけで通じるでしょう。
けれど、共通認識の前置もなく、その質問だけが単独で出現しても、聞かれたほうは、質問の意味するところの範囲が広すぎてとまどいます。
これらは、状況に合わせて、使い分けていくことが大切です。
会話が苦手な人は、このあたりの感覚がピンとこなくて、頭に浮かんだ単語を、そのまま質問として口にしてしまうので、(相手との認識差が生まれて)テンポの良い会話ができなくなっていると感じます。
現代は、テレビやネットで、「自分が言葉を発しなくても」たくさんの情報が得られてしまいます。その感覚に慣れていると、自分が言葉で説明をしなくても、相手にも自分の思っていることが自然に伝わるかのように、錯覚してしまうところがあるのかもしれません。
会話が上手で、適切な質問ができる人は、相手に伝えるために、どんな表現がいいか、相手がこたえやすい聞き方をしよう、と、考えながら話しています(だからこそ、やり取りがスムーズです)。
けれど、ネットやテレビで、自分は無言のままで情報が得られていく日常をおくっていて、実際の人とのやりとりが少ない現代は、そのコツが身についていかない人も多いようです。
「あれ」「それ」で話が通じるような間柄よりも、さらに外側の付き合いを億劫がって避けている場合も同様です。
それでも生きていけてしまうのが、この便利な時代なので・・・、インプットが簡単に得られることで、皮肉にも、アウトプットの力が弱まり、せっかくの情報を、有意義な思考や会話や行動に、うまく結びつけることができなくなっているようにも思います。
自分の思考の習慣や、言い回しのクセなどは、自覚することが難しいものなので、意識しにくいものではありますが、この機会に、考えてみてはどうでしょう。
この点を意識するだけで、格段にやりとりがスムーズになります。
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